子どもが少しずつ「自分の力で読む」楽しさを覚えていく頃、絵本は親子の大切なコミュニケーションツールになります。
6歳の娘と過ごす毎日は、小さな「できた」がたくさん詰まっています。文字が読めるようになったこと、時計が読めたこと、ひらがなで手紙を書いてくれたこと……。
その中でも最近特に印象に残ったのが、絵本『どこからきたの? おべんとう』を一緒に読んだ時間です。
「お弁当の中身って、どこからきたの?」
春のある日。娘と一緒に野原でお弁当を広げながら、ふと思ったことがあります。
「この卵焼き、誰が作ったの?」
「ママでしょ?」
「じゃあ卵はどこからきたの?」
「……ニワトリ!」
そこから親子の『食べ物のルーツ探し』が始まりました。
ちょうどそのタイミングで出会ったのが、鈴木まもるさん作・絵の『どこからきたの? おべんとう』。
絵本のあらすじ
絵本は、野原でお絵かきをしている子どもが、お昼になってお弁当を開くところから始まります。
おにぎり、アジフライ、ポテトサラダ、卵焼き……
色とりどりのお弁当は、見ているだけで「おいしそう!」と声が出るような描写。けれど、ただ美味しそうなだけではありません。
お弁当袋の中には、お母さんからのメモが入っています。そのメモには、それぞれの食材が「どこから来たのか」「どうやってここまで届いたのか」が、丁寧に書かれているのです。
アジフライは海で獲れた魚。卵焼きはニワトリが産んだ卵から。じゃがいもは土の中から掘り出され、ポテトサラダになるまでに、農家さん、配達員さん、スーパーの店員さん……と、たくさんの人の手を経て届くことが描かれています。
娘の感想
絵本を読み終えた娘が、しみじみと言った一言。
「ごはんって、ママだけじゃなくて、いろんな人がつくってるんだね」
「わたし、もっとありがとうって言いたいな」
「おにぎり食べるとき、どこからきたのか考えてみる!」
この絵本は、ただ「知識」を教えるのではなく、「気づき」と「感謝」を育ててくれる一冊だと実感しました。
ママとして感じたこと
毎日何気なく用意しているお弁当。
「今日はおかずこれでいいかな」「栄養バランス取れてるかな」と考えながらも、バタバタしがちな朝に込める想いは、つい流れてしまいがちです。
でもこの絵本を読んで、改めて思いました。
お弁当って、小さな箱に「愛情」と「感謝」と「社会」がぎゅっと詰まった、まるで一つの世界なんですね。
娘の「おいしかった、ありがとう」に込められた気持ちの奥には、もしかしたらこの絵本で感じた“つながり”があったのかもしれません。
思い出のひとコマ:おにぎりとお手紙
絵本を読み終えた翌日、娘が自分で「おにぎり作りたい!」と言い出しました。
キッチンに立って、一緒にごはんを丸めて、海苔を巻いて。
その日の朝、娘はおにぎりと一緒に小さな紙をお弁当袋に入れていました。
「きょうの おにぎりは わたしがつくったよ いっぱい たべてね」
帰ってきたら、「おいしかった?」ってニコニコしながら聞いてくる姿が、まるで絵本の中の女の子みたいで、なんだか胸がいっぱいになりました。
こんな方におすすめ!
この絵本は、こんな方にぴったりです。
- 食育に興味がある
- 子どもに「感謝の気持ち」を育てたい
- 親子で一緒に絵本時間を楽しみたい
- お弁当をテーマにした絵本を探している
読むたびに新しい気づきがあるので、季節ごとに読み返しても楽しめます。
まとめ:絵本で世界のつながりを感じる
『どこからきたの? おべんとう』は、親子の会話を自然に深めてくれる、とてもやさしく、でもしっかりと心に残る絵本です。
「食べることは、生きること」。
それを押し付けがましくなく、子どもの目線で伝えてくれる素晴らしい一冊でした。
忙しい毎日でも、こうして娘と本を通じて心がつながる時間を大切にしていきたいと思います。